この記事では、ラダーシリーズの特徴と、初心者にお勧めの作品を3つ紹介します。
ラダーシリーズの特徴
英語多読をしたいけど、英字新聞や、ネイティブの子供たちが読んでいる本などは、難しすぎて読めない、と感じている人は、まずは「ラダーシリーズ」から始めてみましょう。
ラダーシリーズは「はしご(ladder)」という言葉の通り、はしごを一段一段上るように、英語のリーディング力をつけていくための本です。
ネイティブ用ではなく、英語学習者のために、単語や文法をレベルごとに制限しながら書いてある英語の本です。
ネイティブ向けの本は結構難しい
子供用の絵本なら、ネイティブが読んでいるものと同じ物を読めるかと思ったら、実はそうでもない、ということはよくあると思います。
内容は簡単なはずなのに、見たこともないような単語がたくさん出てきて、さっぱり、となってしまうのです。
私達が普段目にする英語教材やテストのほとんどは、外国人の英語学習者のために作られた、いわば「守られた世界での英語」のようなものです。例えるなら、金魚鉢の中の金魚のようなものだと私は思います。
そういった英語は、外国人でも、初心者でもわかるように、手加減して、文法通りに、限られた単語だけを使い、難しい単語には※印をつけて余白に日本語訳が書いてあります。
まるで小さな入れ物に収まるように作られた、簡単に捕まえることができる魚のようです。(それでも結構難しいですが)
一方、ネイティブが普通に使っている英語、絵本や小説、ドラマなどの英語は、野生の活きのいい魚のように思えます。
捕まえようと思っても、簡単には捕まえられない。リアルな英語という大海原を自由に動き回る魚のようです。
それでもいいから、ネイティブが読んでいるものを自分も読みたい、という方はいいのですが、学習のために、読みやすい英語をたくさん読みたい、という方は、しばらくは学習者向けに手加減して書かれたラダーシリーズのようなものを、楽しみながらたくさん読む方がいいかもしれません。

レベルの特徴
ラダーシリーズのレベルは以下のようになっていますが、あくまでも参考なので、これがすべてではありません。同じレベルでもジャンルによって、読みやすさはかなり異なると思います。
レベル | 使用語数 | 読解に必要な英語力の目安(あくまでも目安です) |
---|---|---|
レベル1 | 1000語 | TOEIC300点以上、英検4級以上 |
レベル2 | 1300語 | TOEIC350点以上、英検3級以上 |
レベル3 | 1600語 | TOEIC400点以上、英検準2級以上 |
レベル4 | 2000語 | TOEIC470点未満、英検準2級以上 |
レベル5 | 制限なし | TOEIC470点以上、英検2級以上 |
レベル1と2は、使用されているすべての単語の意味が巻末に載せられています。
ですから、読んでいて分からない語があっても、すぐに調べて読み続けることができます。
レベル3以上は、中学レベル外の単語のみ意味が載っています。
日本語訳はなし、単語の意味のみ
単語の意味は巻末で調べることができます。例えば「glad 嬉しい」のような感じです。
ですが、本文の日本語訳はついていません。
人によっては単語の意味は分かっているのに、文章として読んだ時に意味が分からない、ということも起こり得ます。
それは英語の文法が分かっていないとか、単語のまとまりをつかめていないとか、色々理由はありますが、あまりにも分からない文が多すぎると読んでも楽しくないですし、ストーリーについていくこともできません。
そして、そのような状態で読んでもあまり学習効果は期待できないかもしれません。

自分の実力より少し下のレベルから始めましょう
意味が分からないのにただ読み続けても、英語の力はつきません。
誰かに教えてもらいながら読むのでない限り、英語の本を選ぶ時には、自力で無理なく読める、最後まで読み切れるレベルのものを選びましょう。
ちょっと簡単すぎるかな、というくらいがちょうどいいレベルだと思います。
ラダーシリーズの目的は、英語を、英語の語順のまま、日本語に直さずにすらすら読めるように訓練すること、です。
あまり難しい物を選ぶと、ほとんどの文を日本語に直しながらゆっくり読むことになるので、トレーニングにならないのです。
TOEICや英検のレベルにとらわれず、一つレベルを下げたところから始めるくらいが丁度いいいかもしれません。
伝記、よく知られている物語は読みやすい
同じレベルであっても、伝記は読みやすいと言われています。
また、よく知られている物語、自分がすでに知っている物語も、予備知識があるので読みやすいでしょう。
「誰が、いつ、どこで、何をした」
という、具体的な記述が続くジャンルは比較的読みやすいと思います。読んだまま事実を理解していくだけなので分かりやすいのです。
逆に、抽象的な内容を扱ったもの、絵本や詩のように、「何を言いたいのかが分かりにくい、言葉の奥にある深い意味を読み取らせようとするもの」は同じレベルであっても難しいと思います。
日本語で読んだとしても、そういった抽象的な物や、解釈が人によって分かれるような作品は「結局どういう意味なの?」となってしまうことがあると思います。書いてあることの意味は分かっているのに、結局何が言いたいのか分からない、となるようなジャンルです。
そういった作品には最初は手を出さないほうが良いと思います。
どうしても読みたい場合は、日本語版があれば先にそちらを読んでおいて、予備知識をつけた状態で読み始めましょう。
もしくはレベルをうんと下げれば、なんとなく理解できるかもしれません。

初心者向け、おすすめ3選
ここからは、具体的におすすめのラダーシリーズを紹介していきます。
レベル1.日本昔話1 桃太郎ほか(Long-ago Stories of Japan)
この本では、「桃太郎」「鶴の恩返し」「カチカチ山」「花咲か爺さん」「一寸法師」の5つの物語を英語で読むことができます。
あらかじめストーリーを知っている話が多いと思うので、読みやすいと思います。
レベル1なので、単語も簡単で、文章も一つ一つが短いので意味をつかみやすいでしょう。
Amazonの試し読みで、桃太郎が桃から生まれるところくらいまで、3ページ分読めるので、自分の英語力で読めそうか確かめることができます。
Kindle版もあります。
レベル2.ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)
こちらも、ストーリーはだいたい知っている人も多いかもしれません。
レベル2なので、レベル1よりは文が難しくなっています。
登場人物が多いので、誰がどういう立場の人で、どんな性格か、ということをおさえながら読んでいく必要があります。
キャプレット家とモンタギュー家の争い、という背景があるので、誰がどちらの家の人か、という点も重要になってきます。
巻頭に登場人物のリストがあるので、目を通してから読み始めるといいでしょう。
ストーリーは「誰が、何をした」という単純な出来事を順に書いているので理解はしやすいですが、現代日本とは物の考え方なども違うので、突飛に思える展開もあるかもしれません。
そこは、異文化ということで、受け入れながら読んでいきましょう。
これが難しすぎると感じるようなら、レベル1をもう少し読んでみるといいでしょう。
レベル2.星の王子さま(The Little Prince)
星の王子さまはフランスの作品ですが、ラダーシリーズでも読むことができます。
同じレベル2でも、ロミオとジュリエットより、格段に読みにくいです。
星の王子さまという作品自体が、はっきりと結論を述べたり、具体的な主張をするのではなく、読み手に色々想像させるような内容になっているからだと思います。
英語は理解できて、書いてあることも理解できたとしても、それを通して筆者が読者に何を伝えたかったのか、どう意味があるのかという事をつかむのが難しいと思います。好き嫌いもかなりあると思います。
日本語に翻訳された星の王子さまを読んだことがあり、こういった作品が好きだ、という方にとっては楽しく読めるでしょう。
単に有名だから、という理由で手を出すのはやめた方がいいかもしれません。
Amazonのレビューでも評価が二分される作品です。「難しい、英語が分かっても意味が分からない」という人と「英語で読んでも感動する、涙が出る」という人に分かれる作品です。
Amazonで試し読みができるので、英文のレベルを確かめると同時に、巻頭の登場人物紹介を読むとなんとなく雰囲気がつかめると思うので、読みたいかどうかを判断するヒントにすると良いでしょう。
そして英語に自信のある人が、腕試しで読むのもいいかもしれません。
英語学習のため、TOEICや英検のための読解力を鍛えたい人は、もう少し内容が具体的ではっきりしていて、「何がどうした」ということをしっかり書いているものを読む方が良いでしょう。
Kindle版もあります。
まとめ
英語学習に多読は非常に効果があると思います。
自分が面白いと思えるもので、易しめのものをたくさん読むことで、「英語を、英語の語順のまま、日本語に直さず、素早く読む」というトレーニングを続けていきましょう。
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